zekipedia

Welcome to Zekipedia

ジブリの新作映画『風立ちぬ』の感想

スタジオジブリ風立ちぬ

映画『風立ちぬ』公式サイト
7月20日に公開されたスタジオジブリの新作映画、「風立ちぬ」観てきました。宮崎駿監督作品としては「崖の上のポニョ」以来なので5年ぶりの作品となります。
初日の動員状況は、ポニョに比べて127パーセントでなかなか好調みたいですね。各紙でも書かれてましたが、ジブリの他の作品に比べて対象となる年齢層が高めの作品なので、平日の夜やレイトショーとかで動員数を伸ばせそうです。

宮崎駿監督の新作映画『風立ちぬ』が20日に公開初日を迎え、2008年の映画『崖の上のポニョ』(最終興収155億円)を超えるスタートを切ったことが明らかになった。午後1時現在で前作比127パーセントという成績に、スタジオジブリ鈴木敏夫プロデューサーは「宮さん(宮崎駿監督)から『新しい試みだったので、お客さんが来てくれてほっとしました』と先ほど連絡がありました。安心したようで、よかったです」とコメントしている。(数字は配給調べ)
http://woman.infoseek.co.jp/news/entertainment/cinematoday_N0054927

映画『風立ちぬ』のあらすじ

こっからはネタバレを含まざるをえないのでそういうのが嫌いな人は読まないで下さい。

さて、公式サイトには次のような記述があります。

かつて、日本で戦争があった。
大正から昭和へ、1920年代の日本は、
不景気と貧乏、病気、そして大震災と、
まことに生きるのに辛い時代だった。

そして、日本は戦争へ突入していった。
当時の若者たちは、そんな時代をどう生きたのか?

イタリアのカプローニへの時空を超えた尊敬と友情、
後に神話と化した零戦の誕生、
薄幸の少女菜穂子との出会いと別れ。

この映画は、実在の人物、堀越二郎の半生を描く──。

堀越二郎堀辰雄
敬意を込めて。

生きねば。

だいたいこんなカンジですが、「零戦の誕生」については最後にちょろっと出てきたくらいで、あんまり描かれてないです。あと、“生きるのに辛い時代だった”の部分も、確かに時代背景としては震災とか戦争とか描かれているものの、出てくる登場人物が東大の学生といいところのお嬢様なのでその辛さの部分はどこか他人事っぽさがありました。ここに書かれていない部分で付け加えると、大学時代からの付き合いで、愛知の某重工業でも一緒に働くことになる友人の航空技術者の本庄との友情とかも結構重要です。

物語の舞台

舞台としては、東京と愛知、軽井沢の3カ所に加えて、出張先のドイツが描かれます。夢の中のシーンが結構多くて、カプローニとも実際に会って会話したりとかはせず、夢を通じて交流するだけでした。

主人公・堀越二郎とヒロイン・菜穂子との関係について

震災の直前に乗っていた電車で最初に出会います。その直後、地震によって電車が停まり、菜穂子の付き人の女性が怪我をしたのを助けたことで、彼女らにとって“白馬の王子様”のような存在になります。その数年後、主人公は愛知の会社で飛行機の設計士となり、航空機の設計を任せられるんですが、作った飛行機が墜落。失意の中、静養に向かった先の軽井沢で同じく療養に来ていた菜穂子と再会し、なんやかんやあって婚約。その後、二郎は愛知に戻り、菜穂子はサナトリウム的なところに治療に向かいます。その後、二人はしばらく文通で交流を続けるのですが、二郎に会いたくなった菜穂子は抜け出してきて(かわいいポイントですね)、諸事情で二郎が住んでいる上司の家にやってきます。んでその流れで結婚して、一緒に暮らし始めるんですが、病態が悪化してまた帰ることになります。ここが“菜穂子との出会いと別れ”の別れの部分です。

感想

部分部分で見るとすごくいい映画だったと思います。技術者としての志とか夢、大事な人との出会いと別れとか。その辺をよく描けていた気がします。声優の緒方恵美さんも


とかTwitterで発言してましたが、ほんとにそう思います。

個人的にはジブリ作品の飛行機・紙飛行機が流れるように飛ぶシーンが見れたのでそれだけで最高でした。動きが早いとかじゃなくてどこかなめらかなんですよね。

あと、ラストに荒井由実の「ひこうき雲」持ってくるのはうまいなー。合いすぎでしょ。

ひこうき雲 - YouTube

ただ、ちょっと詰め込み過ぎかなーと。前回の「コクリコ坂から」でも思ったりしましたが、最近のジブリはなんというか全方位に向けて作るのを意識しすぎて1作品中に多くの要素を入れすぎてる気が。

まず、堀越二郎堀辰雄という全く関係ない2人の人物の要素を撚り合わせようっていうのに若干無理があったかと。上のほうでもちょっと書きましたが、時代背景の部分も色々描こうとしすぎて薄まってる感がありますね。最後の零戦とか若干無理矢理っぽかったし。テーマも恋愛に友情に師弟関係(?)に技術者としての夢にと色々あってそれぞれが軽くなってしまってると思いました。
じゃあどこ削るかって話になるんですが、しいて言えばカプローニのところですかねえ。でもあそこなくすと飛行機が飛ぶシーンがだいぶ少なくなっちゃうんで難しいところだったんでしょうか。
細かいところですが、イタリア人のカプローニにフランス人のヴァレリーの詩の一節「Le vent se lève, il faut tenter de vivre.」を吟じさせるとかどなの…(まあ堀辰雄を持ってくる以上しょうがない話ではありますが)

昔のジブリなら(ジブリじゃなくてトップクラフトだろという突っ込みはあるかと思いますが)、「風の谷のナウシカ」の頃にマンガで7巻にまでなる作品から色んな要素をそぎ落としてうまくまとめてたように、もっと絞った作品になってた気がします。

[asin:B00CHDM89E:detail]
[asin:4198636389:detail]
[asin:4041105102:detail]

(おまけ)庵野秀明の声優としての起用について

Twitterに次のように書きましたが、


あれを良しとする人にとっては良い配役だと思いますし、あんなのダメだという人にとっては良くない配役だったんじゃないでしょうか。個人的には思ったより違和感なく聞けました。