zekipedia

Welcome to Zekipedia

第62回 天童市人間将棋 観戦記

少し前の話ですが、山形県天童市で開催された第62回人間将棋を見てきました。
(この記事は以前購入したポメラで書いてSurfaceで仕上げています。)

f:id:ze-ki:20170422134303j:plain
これが人間将棋

人間が駒になって戦う人間将棋は、桜の季節に2日間にわたって開催されます。会場の天童市は将棋駒の生産地としても有名です。なんでも江戸時代に当時の藩主が貧しい藩士に奨励したことから駒の街としての歴史がはじまったとのこと。実際お値段が張る駒は結構ここで作られているものが多いですね。

f:id:ze-ki:20170422125204j:plain
舞台となる舞鶴山山頂には3月のライオンのポスターが。出店も出ています。

1日目・中村桃子女流初段 vs 室谷由紀女流二段

2日間のうち、1日目は女流棋士同士の対決。中村桃子女流初段と室谷由紀女流二段の対戦で、解説者は阿部健治郎七段。聞き手は島井咲緖里女流二段と北尾まどか女流二段でした。
ちなみに島井女流はその前の部で山形県小学生将棋名人と特別公開対局をしてたようです。飛車落ち(?)相手ながら女流プロを下した小学生将棋名人は将来が楽しみですね。※途中から参加したので対局の進行はわからず…。

さて、中村女流と室谷女流の対局ですが、対局者同士の会話が許されている(?)、人間将棋ならではの掛け合いが非常に楽しい将棋でした。

f:id:ze-ki:20170422134330j:plain
櫓の上の中村桃子女流の様子

先手中村女流の四間飛車に対する後手室谷女流が採用したのは居飛車。室谷さんが居飛車は珍しいなあと思っていたら、

中村「由紀どの、動きが怪しいがおぬし居飛車は指せるのか?」
室谷「今日がデビュー戦じゃ」

という衝撃的な会話も。

お互い銀冠というちょっと変わった一局は、中央突破をうまく交わした後手室谷女流が一手違いの将棋を制していました。
※銀冠は多くの駒を動かすので、すべての駒を動かす必要がある人間将棋においてはよく現れやすいと解説で阿部七段が言ってました。

f:id:ze-ki:20170422142713j:plain
終盤の盤面。馬を中心とした中央突破に対して、飛車の打ち込みで対抗しています。


2日目も同様なのですが、対局の合間には織田信長織田家にゆかりがあるそうで)や家来に扮した俳優による小芝居も入ったり、対局者同士の掛け合いもあったりで、通常の将棋対局と比べて、将棋を知らなくても楽しめるいいイベントだなと思いました。

2日目・三浦弘行九段 vs 阿部健治郎七段

いよいよ2日目は三浦弘行九段と前日の女流棋士対決の解説者であった阿部健治郎七段の対局です。阿部七段は地元山形は酒田市出身だそう。解説者は二人の兄弟子でもある藤井九段。全員西村一義九段門下の棋士です。

皆さんご存じの通り、昨年スマホ問題に揺れた将棋界において、まさにその当事者であった三浦九段が久しぶりに一般イベントに登場するという場でした。

対局が始まり、開口一番阿部七段が、

阿部「三浦殿、大変だったであろう」

という兄弟子をねぎらう一言。いやー、いいですね。

一方の藤井九段は対局前、
藤井「あれ、三浦くん久しぶりだね。何してたの?」
と、いつも通り三浦九段をいじりまくっていました。いや、とても仲はいいらしいですよ。

f:id:ze-ki:20170423124554j:plain
対局前のトークショーでいじられる三浦九段(中央)

さて、対局の内容ですが、対局者の三浦九段が藤井システム、阿部七段がミレニアム囲いという展開。アツい。

これどういうことかというと、藤井システムというのはその名の通り藤井九段が考案した、有名な居飛車穴熊対策の1つ。
一方のミレニアム囲いというのは2000年頃に流行ったことからその名前で呼ばれている、囲いの一種で、当時藤井システムへの対抗策として三浦九段が用いていたことから三浦囲いとも呼ばれています。

つまり、解説者の藤井九段の藤井システムを弟弟子の三浦九段が採用し、その対抗策として三浦九段が用いたミレニアム囲いをその弟弟子である阿部健治郎七段が採用したという構図なわけです。

f:id:ze-ki:20170423135327j:plain
三浦九段の戦型が藤井システムの形になった様子です。

まあ自然にそうなったというよりは、解説者の藤井九段が、

藤井「俺は角換わり腰掛け銀とかだったら解説しないよ」
藤井「三浦くん、空気読もうね」

とか煽ってたので、ある意味誘導されたのかもしれませんが。

ダイヤモンド美濃とミレニアム囲いで、お互いがっちり囲った重厚な将棋になるかに思われましたが、積極的な攻めにより三浦九段が勝利しました。

対局後の挨拶では、阿部・藤井の両名から

「三浦さんが元気そうでよかった」

といった声がかけられていて、同門の仲の良さを感じられました。

f:id:ze-ki:20170423144127j:plain
終局図。ダイアモンド美濃のうち銀が二枚最後まで残ってますね。

2日目・おまけ

実は2日目には、人間将棋の対局の前に、映画「3月のライオン」後編の公開に併せて大友監督と主人公・桐山零役の神木隆之介くんのトークショーも開催されていました。

f:id:ze-ki:20170423114402j:plain
櫓の上でトークショーを行う神木隆之介くん。めちゃくちゃ人気。

こっちがメインイベントの人も多かったようで、100%将棋に興味なさそうな女の子達が神木くん登場の時にキャーキャー盛り上がってました。
トークショーの中身は前日に後編が公開された3月のライオンについて。神木くんもそういや将棋やってるんですねー。

トークが終わったら、本来のメインイベントである人間将棋までに会場の大部分の人がはけたのですが、なんとサプライズで人間将棋が始まる前に武士の格好で再登場。残ってた人はある意味ラッキーかも。

本局は事前に手番が決まっていなかったため、神木くんの振り駒によってどちらが先手になるか決まります。

f:id:ze-ki:20170423134203j:plain
振り駒で先手後手を決めている様子。


先手は上述の通り阿部健治郎七段に決まりました。
振り駒をしたあと、映画のポスターを前に写真撮影をして爽やかな笑顔で去って行きました。

f:id:ze-ki:20170423134340j:plain
ポスターの前で撮影する大友監督と神木隆之介くん。

イケメンすなあ。

[asin:B01M0LPHOD:detail]