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Oculus RiftとHMZ-T3W、2つのヘッドマウントディスプレイの比較

Oculus Riftについて

Oculus Rift(オキュラス リフト)という製品をご存知でしょうか?

ヘッドマウントディスプレイOculus Riftの結局何が凄いのか分からない人へ - 野生のはてなブログ
恥ずかしながら、僕はこちらのブログを見るまでOculus Riftについて知らなかったのですが、この手の製品大好きな自分としてはぜひとも体験しなければ!ということでアキバ大好き!祭りに行って実際に着けてきました。

アキバ大好き!祭の様子

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会場の様子1。魔女になれるそうです。
この他にもスキージャンプのゲームやARを用いて初音ミクを映し出す作品など、5つほどのコーナーが設けられていました。このうち、僕がプレイしたのはスキージャンプのゲームです。

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会場の様子2。これが実際のOculus Riftです。
パッと見、SONYのHMZ-T3Wに比べて大きいなという印象だったのですが、着けてみるとそこまで重さの違いはカンジませんでした。(Oculus Riftが379g、HMZ-T3Wが320g)です。

感想

Oculus RiftとHMZ-T3Wの比較

さて、以前に「SONYのヘッドマウントディスプレイ(HMZ-T3W)のレビューとか使用感とか」というエントリーを書いたのですが、今回はOculus RiftとHMZ-T3Wを比べてどうか、という点について書いてみます。

体験してみての感想は以下の通りです。

  • HMZ-T3Wの方が優れている点

確かに事前に聞いていたとおり、Oculus Riftの方が視野角は広いなあと思いました。そして、その視野角の広さはOculus Riftの一番の特徴である6軸のヘッドトラッキング機能と相性が良いです。

このヘッドトラッキング機能とは何かというと、自分の頭の動きに合わせてゲーム内の視界も動く機能です。例えばOculus Riftを装着しながら振り向くと、ゲーム内でも振り向いたように動きます。

これを視野角の狭いヘッドマウントディスプレイで実装したとしても、望遠鏡を覗いてるみたいでユーザー体験としてはイマイチになりそうですが、視野角が広いOculus Riftでは、実際に自分がその世界に居るかのように動くんですよ!こればっかりは体験しないと分からないと思います。エロゲーへの転用が急務ですね。

一方で気になる画質なんですが、こちらはHMZ-T3Wの方に軍配が上がります。(もしかしたらゲームそのものの解像度の問題なのかもしれません)

また、ヘッドトラッキング機能があるにも関わらず、Wi-Fiに対応してないというのもキツいのかなあと思いました。頻繁に振り向いたりするゲームだとコードが絡まりそう。

あと装着感についてですが、Oculus Riftはゴムバンド方式なので着けやすいです。ヘッドライトとかもゴムバンドのものが多いし、このやり方が最適解な気がします。ただし、HMZ-T3Wも最初は手間取るかもしれませんが、慣れると簡単に着脱できるようになります。何より製品全体としてのデザインがSONYの方が美しいと個人的には思います。この辺は人それぞれですかね。

この他の部分で比べるとすると価格などでしょうか。ただ、HMZ-T3Wはカスタマー向けの製品であるのに対し、Oclus Riftは開発者向けのプロトタイプですし、実質的にはSDKへのアクセス権も購入しないといけないことを考えるとちょっと比較しづらいところです。

スペックについての比較は下に貼った動画が分かりやすいかと。

Oculus Rift VS Sony HMZ T3W, Full Specs ...

目指す先の違い

Oculus RiftとHMZ-T3Wという2つのヘッドマウントディスプレイを着けてみて感じたのは、それぞれの製品の開発者の目指しているものの違いです。

Oculus Riftは開発者志向

汎用性という観点から見ると、Oculus Riftは既存の映像商品との互換性はあまり良くないです。まず映し出す範囲が円形ですからね。ただそれはOculus Riftが目指しているのが映像を写すための製品に留まらないということを示しています。

映画を鑑賞したり、PS3のゲームをプレイするという使用法であれば現時点ではHMZ-T3W一択だと思います。しかし、Oclucs Rift向けの映像作品やゲームが増えてきたらどうでしょう?そのクオリティが高かったら?そうなってくると、まるで映写機が初めて登場した時のように、世界が大きく変わりそうな気がします。そんな未来を感じさせてくれる商品でした。

そのためにもOculus Riftを開発しているOculus VR社では開発者向けのキットを公開し、ヘッドトラッキング機能を用いたゲームを作らせたり、実験的に使用してもらおうとしたりしていますし、よりリアルに近くなるように視野角を広げ、まるで仮想の世界に入り込んだかのようなユーザー体験を目指しています。

また、初音ミクが目の前に居るように見えるというブースもありましたが、ARとカメラを用いて、現実にないものを現実に投影したりするのはセカイカメラエアタグみたいな機能と相性が良いと思います。こういうのも、映像を写すだけを考えていると思い至らない方向なのかなあと思いました。

カスタマーに寄り添うHMZシリーズ

ではHMZ-T3Wはどういう志向で開発されているのでしょうか?これは僕の個人的な意見なのですが、HMZシリーズは比較的カスタマー志向が強い製品だなと思っています。

T3Wというのは3世代目のWi-Fi対応モデルという意味なのですが、第一世代機であるところのHMZ-T1が発売されたのは2011年11月11日で、第三世代機のHMZ-T3Wが発売されたのは2013年11月23日です。iPhone並のリリースサイクルの早さです。しかもスマートフォンと違って競合も少なく、まだ形式も定まってない中でこのスピード感ですからね。

HMZシリーズのすごいところは、前のモデルでカスタマーから不満点として挙がっていた部分を出来るだけ解消する方向に進んでいるところだと思います。例えば第一世代では重さについての不満が多く挙がっており、HMZ-T1を天上から吊るすなんてことをしてる人も居たのですが、420g→330g→320gと世代を経るごとに軽量化が図られています。

また、付属のイヤホン/ヘッドホンじゃなくて、自分のイヤホン/ヘッドホンで楽しみたいという声へも対応がなされています。

リリースしてカスタマーの意見を聞いて改善する、というスタイルが徹底されており、恐らくWi-Fi対応のような機能もそういった部分から出てきているのではないでしょうか。

SONYのヘッドマウントディスプレイというのはPS3と接続して、ゲームや映像を楽しむというのを目指しており、Oculus Riftとは違って、いかに快適にカスタマーが使用できるかという方向を目指しているように感じます。

どちらとも応援したい

開発者志向のOculus Riftとカスタマー志向のHMZシリーズ。2つの異なる志向の製品ですが、両製品が競う部分では競いつつ、それぞれ独自の方向を目指しながらも良いところは取り入れあうことで、これまでにないようなヘッドマウントディスプレイが登場するのを期待しています。