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プロジェクトのステークホルダ・関係者の巻き込み方について(H27年PM試験より)

平成27年度春期プロジェクトマネージャ試験

4月19日(日)、春の情報処理技術者試験祭りということで、プロジェクトマネージャ試験を受けてきました。合格発表後にブログ書こうと思ったのですが、午後1の問題うちの1つが結構面白かったので紹介します。
プロジェクトマネージャ試験は当然ながらシステム開発系の問題が多いのですが、今回紹介するこのステークホルダの問題はどんな仕事でもありえると思えるような題材でした。

プロジェクトマネージャ試験の午後1について

プロジェクトマネージャ試験は他の高度試験と同様、午前1・午前2・午後1・午後2の4つに別れています。午前1は共通の択一(免除制度あり)、午前2は試験独自の択一、午後1は文章題と記述、午後2は論述試験(800字以内・800-1600字・600-1200字の3題)になっています。

このうち、午後1の文章題は結構長くて(だいたい4-5ページくらいあり)、題材となるプロジェクトの仔細が記述されています。この題材のプロジェクトは、背景も含めて書かれているのでわりとリアリティがあります。

今回の午後1の問1について

今回紹介するのは午後1の問1です。「生産管理システムを導入するプロジェクトの、ステークホルダマネジメントに関する次の記述を読んで、設問1~3に答えよ。」という問いかけの通り、ステークホルダのマネジメントに関する事例が紹介されています。

問題は下記のリンクからダウンロード可能です。

平成27年度 春期 プロジェクトマネージャ試験午後1 問題(※PDF注意)

ざっくりと説明すると、X社の傘下に入ることになったH社が、現システムからX社のシステムへ移行するというプロジェクトです。

問題文はごちゃごちゃ長いのですがこの問題の関係者は次の通りです。

  • I部長…全体の責任者かつシステム移行に伴う業務見直し委員会の委員長。偉い人。
  • J課長…業務見直し委員会のリーダーに任命されている。現システムの主担当であり、移行に積極的ではない。
  • H社利用部門…導入されるシステムを実際に利用することになる部門。
  • T社…H社の既存ベンダーであり、決められたことだけを実施する姿勢が見られる。
  • X社…“H社主導で進める”という前提で積極的関与はしないが、細かな進捗報告を求める。
  • Y氏…X社から派遣されたノウハウをもったアドバイザ。直接は関与しない。
  • K氏…本プロジェクトのプロジェクトマネージャ。

図にするとこんなカンジ。
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(問題文より)

このK氏はこれらの登場人物を影響度と関与度という観点で次のようにプロットします。
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この状況をバランスが悪いと考えたK氏は、次のような状況に持っていくよういろいろと画策します。
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I部長に直談判したり、I部長・J課長とK氏の3人からなるPMOを組織したり、X社に現地責任者を求めたり、時には開発ベンダーであるT社に「御社は運命共同体です」(それもどうなのかという気がしないでもない)と伝えたり、K氏の奔走は続きます。詳細は伝えきれないので問題文を読んでください。

さまざまな方法で関係者を巻き込んでいき、より積極的に関与させてプロジェクトを推進するK氏の姿勢と手法は、あくまで架空の事例とはいえ、読んでてすごく参考になりました。

特に、関与度を高めて積極的にさせるだけでなく、いちいちうるさい親会社から人を寄越させて進捗報告の負荷を下げたりするのは真似したいですね。

以上、プロジェクトマネージャ試験の事例から学ぶステークホルダの巻き込み方についてについてでした。

余談


こんなことにならないよう、参考書は古本屋で買わずに、なるべく新しいものを買いましょう。