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京都大学の各学部の留年者数等に関するデータ

大学の後輩がブログでネット上に転がっている京大に関する資料を紹介していて、色々と見ていたんだけれども、京都大学の各学部・研究科の留年者数や退学者数のデータが中々面白かったので分析してみました。
ちなみにデータ元はこれです。

4-4-1.pdf
一応kyoto-u.ac.jp上で公開されています。(2013/04/14確認済み)

追記

何も考えずに留年率を出す時に留年者数を全学生数で割ってたんですが、卒業者数で割るべきではという指摘がありました。

確かにそっちの方が留年率の感覚としては近そうです。今の計算だと、1〜4回生の留年確定者が反映されてないですからね。
ただしそのやり方だと、5回生以上だけど卒業未定の人が余計に加算されてしまい、今度は高めの数字が出ちゃいそうです。周り見てると結構2年以上留年してる人いますし。
というか学年ごとのデータとか公開されてれば、正確に1学年当たりの留年率が出せたんですけどねー。

学部

まずは学部から。

部局名 学生数 転学者数(転入) 転学科者数 休学者数 退学者数 退学率 留年者数*1 大学院への飛び級による退学者(内数)
総合人間学部 563 6 26 2 0.355% 55
文学部 1019 4 39 12 1.178% 131
教育学部 286 2 7 4 1.399% 30
法学部 1593 6 5 10 0.628% 212
経済学部 1173 3 52 4 0.341% 127
理学部 1389 51 18 1.296% 138
医学部(6年制) 660 2 0.000% 19
医学部(4年制) 625 9 7 1.120% 37
薬学部(6年制)*2 181 0.000%
薬学部(4年制) 220 1 1 0.455% 12
工学部 4339 2 52 38 0.876% 368 1
農学部 1339 1 29 5 0.373% 75
13387 21 3 273 101 0.080198513 1204 1

気になる留年率は次のようになりました。

法学部がトップの13.3%で、次いで文学部が12.9%という結果に。全体では10%前後といったところでしょうか。
大学内では「法学部生の3割が留年する(参考ツイート 赤宮 (@spine19642) | Twitter」という噂もある京大法学部ですが、意外と少ないですね。それでもやはり1位なのは、専門科目の厳しさとキャップ制によるものなのでしょうか。
※H23年度の時点では、法学部のみキャップ制という単位数に制限をかける制度が導入されている。
京都大学新聞社/Kyoto University Press » 分裂法学部 キャップ制 留年確定者93人(2007.11.01)

それにしても医学部(6年制)の留年率の低さが目立ちます。さすがは天下の京大医学部といったところでしょうか。ちなみに薬学部(6年制)が0となっているのは、新設学部のため、まだ最初の入学者が卒業年時に達していないからです。


休学率はこちらです。
学内では比較的単位取得が簡単と言われている総合人間学部と経済学部が1、2フィニッシュをキメています。逆に、先ほどの留年率ではトップだった法学部では休学者数はほぼ0でした。自分の周りの人達の話ですが、総人や経済で休学する人は、単位はさくっと取りつつインターンや留学などで休学したり、あるいは進路が決まらず就職留年する人が休学にしてるようです。法学部は単位が取りにくい&後から挽回がしにくいので、インターンや留学する際も休学にはせず、一応履修登録をして試験だけ受けに帰ってくるといった人が多かった気がします。
このデータの定義では休学すると必ず留年者となるはずなので(もしかしたら休学は在籍年数に入らない可能性もありますが)、法学部の留年者はほぼ純粋に単位が取れていない留年で、総合人間学部や経済学部での留年は休学者数もある程度含んでいることになるかと思われます。

その他についてですが、文系の学部へはそこそこ転入者がいるようです。まあ学問分野によっては学部を横断してるものもありますからね。それと、文系の学部は一般教養科目であまり指定がなく、1・2回生で転学部してもそこまで影響がないというのもあると思います。逆に理系の学部への転入者が皆無なのは、1回生時にある程度学部の指定科目を取る必要があるからじゃないでしょうか。例えば文学部から工学部に転学部するとして、1回生に混じって線形代数とかの授業を取るのは厳しいですよね。
あと、飛び級者の存在も気になります。一応制度は知っていたのですが、本当にいるんだというカンジ。ちよちゃんかよ。

修士

自分は修士課程に進まず学部で卒業してそのまま就職したので、ここからはトンチンカンなことを書いてるかもしれません。

部局名 学生数 転研究科者数(転入) 転専攻者数 休学者数 退学者数 退学率 留年者数*3
文学研究科 272 29 7 2.574% 45
教育学研究科 84 3 0.000% 9
法学研究科 28 1 1 3.571% 3
経済学研究科 87 1 0.000% 10
理学研究科 625 24 22 3.520% 52
医学研究科 151 2 5 3.311% 2
薬学研究科 118 0.000% 1
工学研究科 1456 23 22 1.511% 37
農学研究科 624 22 17 2.724% 35
人間・環境学研究科 357 2 30 14 3.922% 45
エネルギー科学研究科 284 5 9 3.169% 9
アジア・アフリカ地域研究研究科
情報学研究科 416 1 16 14 3.365% 32
生命科学研究科 150   4 4 2.667% 8
地球環境学 94 3 0.000% 4
4746 0 3 163 115 3.033% 292

面倒くさいので留年率と休学率をまとめて出します。

おおう、文学研究科よ…。
ただ、単位とってそれなりの卒論書けば卒業できる学部の時と違って、修士ではそれなりに研究成果を残さなければならないと修了認定がもらえないという事情があるので、留年の意味合いも異なるのではないでしょうか。特に文学部の研究分野では、なかなか新しい理論や発見を発表するのは難しそうですし。
あとは文系と理系では大学院進学者の母数も違うので、その辺も影響してそうです。工学研究科が少ないのは、留年しそうな人は学部時代に留年させられて、大学院ではそれなりにストレートにいけるからじゃないでしょうか。この辺の事情は正直よく分かりません。
アジア・アフリカ研がブランクとなっているのは、ここの研究科は修士から博士まで一貫で5年制のカリキュラムとなっているからです。

専門職学士課程

いわゆるロースクールと言われる法科大学院医師免許取得を目指す医学研究科指摘を受けて間違ってることに気づきました。医師免許を取るのは学部の6年制の方ですね。こちらは公衆衛生学を展開する大学院だそうです。など、専門職大学院と言われる大学院のデータです。

部局名 学生数 転研究科者数(転入) 転専攻者数 休学者数 退学者数 退学率 留年者数*4
法学研究科 392 15 5 1.276% 65
医学研究科 58 4 4 6.897% 21
公共政策教育部 89 4 3 3.371% 21
経営管理教育部 190 12 10 5.263% 37
729 0 0 35 22 0.168060063 144

こちらも留年率・休学率をまとめました。

グラフの目盛りをよく見てくださいね。すごいことになってます。
まず、医学研究科が圧倒的です。まあ日本最難関とも言われる国家資格を取らなきゃいけないわけで、そりゃこうなりますわなという話。上記の勘違いによりこちらの記述は間違ってることになります。誰かこの留年率の高さの理由が分かる人がいたらブコメなりでこっそり教えて下さい。同じく国家資格である司法試験合格を目指す法科大学院もなかなか厳しいようです。
個人的には経管や公共の留年率が高いのも気になります。学部卒で入る人以外にも、社会人から入る人も結構いるのでわりとやる気がある人が多いという印象だったのですが…。ただ、分野が分野ですし、もしかしたらボランティアやインターンなどのフィールドワークに出てられる方が多いのかもしれません。実際知り合いで何人かそういう人もいました。

博士(後期)課程
部局名 学生数 転研究科者数(転入) 転専攻者数 休学者数 退学者数 退学率 留年者数*5 研究指導認定退学者数(外数)
文学研究科 235 61 10 4.255% 65 47
教育学研究科 110 13 3 2.727% 21 11
法学研究科 72 14 4 5.556% 21 3
経済研究科 118 13 6 5.085% 37 4
理学研究科 516 15 13 2.519% 90 14
医学研究科(4年制) 613 20 7 1.142% 22 79
医学研究科(3年制) 125 8 1 0.800% 17 24
薬学研究科 95 1 2 2.105% 5 1
工学研究科 603 2 21 11 1.824% 127 30
農学研究科 297 31 9 3.030% 72 10
人間・環境学研究科 330 4 61 13 3.939% 102 44
エネルギー科学研究科 96 2 0.000% 27 5
アジア・アフリカ地域研究研究科 167 19 10 5.988% 36 12
情報学研究科 157 13 3 1.911% 36 17
生命科学研究科 116 3 1 0.862% 27 13
地球環境学 77 8 3 3.896% 14 6
3727 0 6 303 96 4.564% 719 320

博士課程では留年率と研究指導認定退学率を出してみました。

寡聞にして研究指導認定退学というのを知らなかったので、Wikipediaで調べたんですが、

博士課程で学位を取得した場合は「修了」として認定されるが、就職などのために学位を取得する前に中途退学もしくは満期退学するケースも多い。所定の在学期間(3年間)以上在学し、修了に必要な単位を全て取得してはいるものの、学位論文だけが完成しないまま就職することも多く、こうした場合「満期退学」又は「単位取得退学」と称する。なお、京都大学では、これを「研究指導認定退学」と称している研究科もある。
博士 - Wikipedia

だそうです。つまり博士課程を卒業したけど博士号がもらえない人達ということですね。アカデミズム厳しい!

Excelデータ

今回使ったデータはExcelにまとめてます。
分析に利用したい方はどうぞ。
[file:ze-ki:kyoto-u_tengaku.xlsx]

*1:「卒業年次在籍者のうち、4年(3年次編入者等は2年)又は6年を超えて在籍している者」

*2:薬学部6年制については、平成23年度に最初の入学者が卒業年次に達する。そのため留年者が発生するのは平成24年度以降となる。

*3:留年者数:平成23年5月1日現在 留年者=「修了年次在籍者のうち、2年を超えて在籍している者」

*4:留年者数:平成23年5月1日現在 留年者=「修了年次在籍者のうち、2年又は3年(法学研究科の法学未修者)を超えて在籍している者」

*5:留年者数:平成23年5月1日現在 留年者=「修了年次在籍者のうち、3年、4年又は5年(アジア・アフリカ地域研究研究科)を超えて在籍している者」