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一休「大臣、それでは、人間力を数値化してください。すぐに、入試に導入してみせましょう」

それを聞いた大臣は、思わず言いました。

「何を言うか! 人間力を数値化できるわけがなかろうが」

すると一休さんは、にっこり笑って言いました。

「それでは、人間力は数値化出来ないのですね。それを聞いて、安心しました。いくらわたしでも、数値化できないもので人を順位付けすることはできませんからね」

それを聞いて大臣は思わず手を叩きました。

「あっぱれ!あっぱれなとんちじゃ!ほうびをつかわすから、また来るがよいぞ」
屏風(びょうぶ)の虎(トラ) 一休さんのとんち話 <福娘童話集 アニメかみしばい>


うーん、イマイチなパロディになってしまった。
あ、この話です。


http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130725/k10013287121000.html


文科省大好き人間力の話ですね。ブコメが荒れてますがまあ当然でしょう。そもそも“人間力”ってスタートの時点で入試のための指標とされることを想定していませんし。例えば、ウィキペディアには次のように書かれています。


この定義は、多分にあいまいさを含んでいる。しかし、私たちは、人間力という概念を細かく厳密に規定し、それを普及させることをこの研究会の使命とは考えていない。人間力という用語を導入することによって、「教育とは、何のために、どのような資質・能力を育てようとするのか」というイメージを広げ、さらにそこから具体的な教育環境の構築が始まることにこそ意義があるのである。
人間力 - Wikipedia


つまり、人間力というのは教育を行うに当たってどういう能力を育てたいか考えるために提唱された考え方の1つに過ぎず、それを入試の指標として利用しようってのがそもそも間違いなわけです。


だいたい人によって捉え方がだいぶ異なるような「◯◯力」ってのは何かを測るには適してないと思うんですよね。特に大多数に対して行う場合は。


まあこの辺に関する批判は尽きないのでこれくらいにしておきます。ただ、記事中で気になるのが次の部分です。

このあと下村大臣は記者団に対し「現在でも、センター試験に各大学の論文試験などを組み合わせて、合否を判断する工夫が相当されていることがよく理解できた。学力一辺倒でない人間力を判断する入試のあり方について、熟議を重ねながら議論していきたい」と述べました。

この部分を出来る限り好意的に捉えるとするならば、下村大臣はこれまで、既存の入試では人間力が測れないと思っていたが、大学入試センターへの視察を通じて現在でも人間力を判断するべく工夫していることが分かった、と解釈できるのではないでしょうか。いや、無いか。


あ、そうそう、京大の松本総長も以前「受験勉強ばかりでなく、高校時代にやっておくべきこと、例えば音楽とか、恋愛始め人間関係の葛藤とか、幅広い経験をしてきた人に入試のバリアを少し下げる」とかおっしゃってましたが近いものがありますね。そのインタビューのページ探してみたんですけど毎日jpということで案の定消えてました。
こちらのエントリーに全文転載しておいてよかったです。
京大総長のインタビューについて - zekipedia

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