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ハイペリオンと涼宮ハルヒの憂鬱

不勉強ながら、かの有名な『ハイペリオン』を今まで読んだことがなかったのだけど、とある人に飲み会で「涼宮ハルヒの憂鬱って結局ハイペリオンなんだよね」って言われて気になって読むことにした。

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すげー面白かった。読み終わってすぐに続編の『ハイペリオンの没落』買いに走っちゃうほど面白かった。

作品としての面白さ自体は、王道SF的な未来の科学技術に関する描写と、各所に散りばめられた“ジョン・キーツ”(そもそもハイペリオンというタイトルが彼の叙事詩のタイトルなのだが)に関する要素、そして何より様々な文体で語られる巡礼たちの、引き込まれるような物語あると思う。この辺はSF評論家の文章とかを後でまた読みたい。

両者の共通点

角川スニーカー文庫から刊行されている涼宮ハルヒシリーズの第一巻『涼宮ハルヒの憂鬱』というのは、

「東中出身、涼宮ハルヒ。ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上。」
涼宮ハルヒシリーズ - Wikipedia

のセリフで有名だ。簡単にストーリーを説明すると、涼宮ハルヒという無自覚に世界を変えるほどの力を持つ少女に対してそれぞれの思惑を持った宇宙人(正確には情報統合思念体)、未来人、超能力者が接近する、という内容である。

一方『ハイペリオン』の方はというと、28世紀の宇宙を舞台に、辺境惑星ハイペリオンにある<<時間の墓標>>へ向かう7人の巡礼の物語である。
Wikipedeiaがむっちゃ詳しいので気になった人はどうぞ。
ハイペリオン (小説) - Wikipedia

両者の話の構造的な類似点としては、大きな物語の中に小さな話がいくつか含まれているという点にある。つまり、『涼宮ハルヒの憂鬱』ではハルヒという謎を持った存在に対して宇宙人・未来人・超能力者が、それぞれに持っているハルヒに接近する理由聞き手であるキョンが聞くという内容となっており、一方『ハイペリオン』では、司祭・兵士・詩人・学者・探偵・領事(7人の巡礼とあるが実は途中で欠けてしまう)が<<時間の墓標>>へと向かう目的をお互いに語り合うという構造になっているのだ。あっさりと書いたが、どちらの小説でもそれぞれ登場人物が語る物語が非常に重要な役割を帯びている。

もう少し言うと、『ハイペリオン』では人類とアウスターと呼ばれる宇宙人、そしてテクノコアと呼ばれるAIの3つの勢力が<<時間の墓標>>およびハイペリオンの覇権を握ろうとしている点も、ハルヒにおける登場人物たちの関係に近いものがあると言えるかもしれない。

細かい話だと、件のテクノコアは完全に情報統合思念体だし、アニメ版のハルヒでは長門有希ハイペリオンを読んでるシーンがあったり、みたいな小ネタもある。

正直SFは御三家くらいしか読んでなかったので久しぶりに面白い作品を読めて良かった。
確か本の雑誌のSF100選みたいな企画でもハルヒが取り上げられてたと思うのだけど、ああいうライトなSFに飽きた人はぜひ読んでみるといいんじゃないでしょうか。